
株式会社グローバルエージェンツ(本社:東京都渋谷区、代表取締役:山﨑剛)は、全国に6ブランド11棟1,200室のブティックホテル、ライフスタイルホテルを展開するLIVELY HOTELSを運営している。6ブランド共通のコンセプトとして「WHERE I UPDATE MYSELF」を掲げており、ただの宿泊施設にとどまらず、泊まる前と後で自身の変化を実感できる「自分をアップデートできる場所」を目指している。
大きな特徴としては、①クリエイティブなホテルデザイン、音楽やアメニティまでこだわった世界観②モバイルテクノロジ―を駆使しチェックインやルームサービスなどスマートな滞在を実現③各ホテルで常時100種類以上をそろえるゲームや家電などのレンタルアイテム④全ホテルでの夕刻のフリーアルコールサービス、ウェルカムドリンクサービス⑤画一的なサービスではなく一人ひとりに合わせた柔軟なサービス⑥独自のホテル役職「キュレーター」による地元情報の案内――などが挙げられる。また無料の高速Wi-Fiや全米シェアNo.1の高品質ベッドメーカーSerta社製のベッドを採用、チェックイン前、後の荷物預かりなど快適な滞在をサポートする設備、サービスも充実している。
もともとはソーシャルアパートメントの運営からスタートした同社。「人と人との繋がり、人と地域の繋がり」をホテル事業においても意識的に実践しており、それがワーケーションやインバウンド、MICEといったニーズや時流にはまっているといえる。
今回の記事ではワーケーション事例を中心に「The Millennials京都」、イベント開催などMICE事例として「THE LIVELY大阪本町」「THE LIVELY福岡博多」の担当者に話を聞いた。

The Millennialsの革新的な宿泊ユニット「スマートポッド」
The Millennialsは、独自開発の宿泊ユニット「スマートポッド」で滞在をより気軽に身近に体験できる革新的な宿泊施設。ホステルに分類される。面積は3㎡とコンパクトながらも2.3mの高さの天井や6ブランド共通の高品質ベッドメーカーSerta社製のベッドを採用し快適な居住性を叶える。カプセルホテルと違い「客室面積をベッドサイズまでコンパクトにする」という発想なので圧迫感や窮屈感がないのだ。またスマートポッド内の操作は全て客室に設置されているiPodで可能。ベッドはリクライニング機能でソファモードとベッドモードを選ぶことができる。ソファモードにすれば手前にスペースが生まれ床に立って着替え等ができる。起床時に時間をセットしておけばベッドが起き上がる機能が面白い。またスクリーンを閉じると80inの大画面ホームシアターになる(一部スマートポッドのみ)。機能性とエンターテイメント性が楽しめる空間だ。

スマホやPCを繋いでプライベートシアター空間に(写真右)
The Millennialsのコワーキングスペース「andwork(アンドワーク)」
共用スペースの充実は交流を大切にする同社ホテルブランド共通の特徴。The Millennials京都でも仕事や食事、会話や待ち合わせなど自由な使い方ができる広々としたロビーラウンジ、自炊ができるセルフキッチンなど共用スペースが充実している。
そしてThe Millennials京都内には宿泊者や一般利用者が時間単位または月契約で利用できるコワーキングスペース「andwork(アンドワーク)」が併設されている。
andworkは2017年7月にThe Millennials 京都でスタート。現在は同社運営ホテルに7拠点あり、会員数1万人を突破している「ホテルハイブリッド型」のコワーキングスペース。
一般的なコワーキングスペースでは月額会員が大多数を占めるが、andwork京都はドロップイン利用(一時利用)が約70%と月額会員を上回り、利用者層が幅広く様々なシーンで活用されている事が分かる。会議室や周囲を気にせず通話などができる電話ブースなども備え、出張先や旅行先でもふらりと立ち寄って仕事をすることができる。ホテルハイブリット型だからこそ様々な場所から多様な人が集まるコワーキングスペースが実現している。
電源やWi-Fi、フリードリンクなどのコワーキングスペースの基本的な機能に加え、朝のコーヒーサービスや日中は客室での昼寝、シャワー利用などホテルハイブリット型だからできるサービスの強みも。また夕方のハッピーアワーは、宿泊者との交流を目的にビールが無料提供されるという仕事の後に嬉しいサービスも好評だ。


海外で注目のスタートアップ「Remote Year(リモートイヤー)」と提携の実績も
The Millennials京都では、2017年からコロナ禍になる2020年3月まで世界を旅しながら仕事する旅行企画を提供する海外で注目のスタートアップ「Remote Year(リモートイヤー)」と提携し、プログラム参加者の京都滞在時のコワーキングスペースの拠点として受け入れを行っていた。これにより世界から毎月40人ほどのリモートワーカーがThe Millennialsに集まっていた。Remote Yearとの連携は今後再開を検討中となっている。
ユーザーを引きつける魅力
数ある宿泊施設、コワーキングスペースの中でなぜThe Millennials京都に人が集まるのだろうか。取材時(2023年3月初旬)ですでにインバウンド客も8割~9割戻っているという。インバウンド客の半分はアメリカ、カナダ、オーストラリアから。次にドイツなどヨーロッパで、アジア圏からは全体の2割程度だという。担当者は「インバウンド客はトリップアドバイザーなどの旅行サイトや友人の紹介で知ってもらっているようです。The Millennialsのコンセプトや世界観、新規性が評価頂いている結果だと思っています。Serta社製のベッドもレビューで好評ですね。カジュアルな寛ぎと高級感のバランスを大事にしていきたいです」と話す。
andwork利用者については「ここで仕事をしている間に宿泊者と仲良くなった、といったエピソードはよく聞きます。今後は地域と宿泊客、andwork利用者の交流がもっと活発になるように月に一度イベントを企画して積極的に取り組んで行きたい」と展望を語る。
宿泊施設やワークスペースという枠を超え、人と人、人と地域を繋げるコミュニティプレイスを目指していく。
旅行者と地元コワーキングスペース利用者との交流、旅行者同士の交流、実際にビジネスのきっかけも生まれているという。会議室もあり、単身のワーケンションだけでなく、グループのワーケーションにも利用されている。共同キッチンを活用するのに最適な京都の台所の錦市場、四条河原町や祇園といった繁華街もすぐ近くにある好立地。自炊や中食、外食を自由に選び楽しめる。
THE LIVELY大阪本町
同社の展開するホテル事業のフラグシップブランド「THE LIVELY」。ホテルを「泊まる場所」から「世界中から人と情報と機会が集まる場」と再定義し、訪れるたびに新たな発見に出合える刺激に溢れた体験を提供する。現在は東京麻布十番、大阪本町、福岡博多の3か所で展開しており、施設内にレストランやバー、ラウンジのほか、博多の施設には会議室、宴会場などを併設している。
THE LIVELY大阪本町には、フレンチと和の技法をカジュアルに楽しめるロビーダイニング「THE LIVELY KITCHEN」、ホテル最上階のシグネチャーバー「THE LIVELY BAR」、コワーキングスペースとしても利用されているラウンジ「LIVERALLY」がありゲストの要望によって様々な利用ができる。
LIVERALLYは会議利用やセミナー、ワークショップなどのビジネス利用から宴会や懇親会など幅広く対応可能。収容人数は立食で50人、着席34人。スクール形式で22人。THE LIVELY BARは180度ガラス張りの高層階にある空間。プライベートな集まりや企業のパーティーのほか、カジュアルなウェディングパーティにも利用できる。収容人数は立食60人、着席40人。同ホテルのWEBサイトに会議や宴会のプランが紹介されている。飲食店の団体予約や貸切感覚の予算で利用可能。年間100件程度、地元企業などに利用されているという。まだまだ知られていないホテルのMICE会場だ。



会議や企業パーティー、ウェディングや音楽イベントまで多様なイベントに対応
2つのメインバンケットはプロジェクターや120inスクリーン、ホワイトボードなどの会場設備も用意。THE LIVELY BARにはDJ機器までそろっている。
担当者は「バンケット利用は近隣の企業が多いです。セミナーの後にブッフェ形式のパーティーをするスタイルが増えてきていますね。若手経営者の集まりではTHE LIVELY BARで勉強会をしたこともありました。宴会料理もホテル内のレストランTHE LIVELY KITCHENで作っています。和の食材を使用したフレンチデリカテッセンが好評です」と話す。またホテル自体がカルチャーの発信地であるというコンセプトのもと、ライブペインティングやDJイベントなどアートや音楽関連イベントも多数開催している。「体験価値の向上に力を入れたい。ルーフトップで朝ヨガをするイベントも好評です。カルチャーイベントの開催のほかにも、弊社グループホテルで共通の夕刻のフリービールに、日本らしいサワーを追加するとインバウンドゲストは喜んでくれます。つい写真に撮りたくなるようなメニューとして、たこ焼きをワッフルの形にして夜食を配ってみたり、色々と喜んでもらえる仕掛けを考えています。地域と宿泊客に認知を広げて行きたいです」と語る。
THE LIVELY福岡博多のMICE事例
同社グループホテルの大型のMICE施設としては、THE LIVELY福岡博多に150㎡のバンケットが2つ、バンケット利用が可能な100㎡のラウンジがある。宿泊+MICEの2022年の実績としては7件、計254人が利用。美容機器のセミナーや米首席領事も参加した通訳者・翻訳・ガイド協会の総会、お寺婦人の研修会など様々だ。美容機器セミナー利用では美容系のインフルエンサーやドクターがメインで参加し、壁面設置のデジタルサイネージにオリジナル動画を投影し特別感を演出。「お洒落な雰囲気や特別感を求めてリピート利用に使がっているのでは」と担当者は分析する。宿泊を伴わない、セミナーやオフ会、ウェディングや展示会などの利用は年間で約300件、1万人の利用がある。


博多の担当者は「大箱のバンケットも複数あるため昔ながらのMICE的利用に適した環境でありつつ、旅をしながら仕事をする利用客もいるので、今後は柔軟な働き方ができる新しい感覚を持った企業にももっと利用してもらいたい」と話す。(JAPAN MICE NAVI編集部)