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八芳園の強みはプロデュース力。~ウェディングで培ったおもてなしの心で和のMICEを提案~

JPEN
日本建築の粋を集めた大広間「白鳳館」
日本建築の粋を集めた一棟貸切会場「白鳳館」

結婚式場、宴会場として有名な東京、白金台の八芳園。約1万坪の敷地内には、江戸時代から変わらぬ日本庭園や大小異なる15のバンケットホール、料亭などを備える。創業以来、年間約2000組の結婚式を受注し、独自のおもてなしを磨き続けてきた。和を感じる庭園、建築と高いサービス力でMICE会場としてのポテンシャルは折り紙付きだ。近年はウェディングで培った経験を活かし、ビジネスイベントやMICEにも注力している。決してフォーマット化をせず、ひとつひとつの想いにしっかり向き合い、要望や課題を丁寧にヒアリングし本質的な思考から最適な企画を提案。企画実現のための最適なチームを案件ごとに編成し、初日の打合せから当日まで、ワンストップでプロデュースするという。
今回は八芳園が強みと言い切る企画力とプロデュース力について総支配人室次長の堂下治さんに話を聞いた。

八芳園でMICEを開催する場合はどんな強みがありますか。

堂下さん 我々の強みとしては、多様な設えの会場で様々なニーズに応える企画力と料飲をワンストップで提供できるのが強みですね。日本建築の粋を集めた貸切宴会場「白鳳館」やガーデンフロアと名付けられた庭園との一体感を感じられる「ジュール」は和のMICEに最適な会場だと思っています。4Fフロアは全室結婚式時の控室となっており、大きな会議の後の分科会や少人数での会議等にも使用頂けます。
料理は特に注力していて、どんなに良い会場・雰囲気・サービスだったとしても料理が及ばないと再訪下さる可能性は低いでしょう。MICEとなると世界中からゲストがお越しになるので、美味しいだけでなく誰もが安心して食事を楽しめるように、ムスリムフレンドリー認証取得の専用キッチンも設置しました。ハラル対応の神戸牛を召し上がっていただいた際には大変お喜びになり、こちらも印象に残っています。食における主義・アレルギー・趣向を越え、すべての人に日本の美味しい食材を安心して楽しんで頂きたいと思っています。

客の目前で仕上げ調理を行う専用キッチンも備える「白鳳館」
庭園の奥に位置し、一棟貸切会場として演出の自由度も高い「白鳳館」
中庭に続く会場「ジュール」
ガラス扉を開け放ち、会場からそのまま中庭に続く「ジュール」
ジュールからつながる中庭に設置された組み立て式茶室「MUJYOAN」。ジュールと中庭を貸切ることで多様な企画が可能。

八芳園と言えばウェディングという印象が強いですが、最近はMICEに注力されています。MICEに舵を切った理由は。

堂下さん 本格的に取り組み始めたのは約4年前です。晩婚化や少子高齢化、ナシ婚層の増加といった背景もあり、八芳園のベニューの強さを海外に訴求していく方向に視点を変えました。結婚式場というより、MICE施設として外資系企業やエージェントをはじめ、これまでとは違う視点を基に、旗振り役をやらせてもらい、多くのMICE案件を受注しました。
ですが、個人的には八芳園の最大のライバルは庭だと思っています。企画力、プロデュース力を磨き、このプロデュース力をまずは知って頂く必要がある。これまで出会うことのなかった様々な業種・業界の方たちとご縁を頂戴し、外部会場でのプロデュースやコンサルティングも行うようになりました。今ではそのご縁から、外部でのプロデュースやコンサルティングのオファーもコンスタントにお声がけ頂けるようになり、重要な事業態となりつつあります。

会場を提供するだけではなく、企画力やプロデュース力の磨き上げが必要だと思われたんですね。

堂下さん 2013年に東京でのオリンピック・パラリンピック開催が決まり、インバウンドの問い合わせが増えてきました。皆さま『日本らしさを提供してほしい』とご希望を仰います。そこで差別化を図ろうと模索し、自社のネットワークを通じ、日本各地を調理・サービス・企画スタッフが訪れ、目で見て手で触れ、『日本のいいところは地方にこそある』と気が付いたんです。日本各地にある独自の文化や祭、地域行事、職人の技。特に職人自身にフォーカスし、八芳園がプロデュースという形でクリエイティブやエンターテインメント要素を加え、ユニークコンテンツとして開発しました。他では実現できないオリジナルのコンテンツを使ったMICEを提案することができるようになりました。出来上がったユニークコンテンツは八芳園だけでなく、外部の会場でもどんどん発信していきたいと思っています。

MICEシーンでのおもてなしに関してはどう感じていますか。

堂下さん 顧客満足度を上げるのは結婚式でもMICEでも同じです。ご希望をヒアリングして掘り下げる。時間も労力も要し非効率でもありますが、そこができるのが我々の強みだと思っています。MICEに関しては外国語対応スタッフが7名おり、ロシア・中国・ガーナなど様々な国のメンバーに打合せ内容を共有し、言葉の相違、文化の違いなどでこちらが取りこぼしている事柄がないか、細かなニュアンスを理解できているのかなどチェックできます。こうした細かな配慮が顧客満足度を上げていくと思っています。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けての取り組みは。

堂下さん オリンピック・パラリンピック期間中、武蔵野大学有明キャンパスに「2020 ホストタウン・ハウス」が設置されます。オリンピック・パラリンピック参加国の事前キャンプなどを受け入れる日本の自治体(ホストタウン)の魅力と参加国との交流を発信するパビリオン的施設です。八芳園はその出展内容と食の企画を担当しており、コンテンツをプロデュースしていきます。実行委員会の主幹会員は東武トップツアーズ、武蔵野大学、パソナグループと当社です。

※本インタビューは2020年2月に行われたものです。2021年の「ホストタウン・ハウス」開催詳細については、3月末現在未定となっています。

堂下さんが注目する日本の地方はどこですか。

堂下さん 注目は福島。食の風評被害があった福島の食の安全性をPRしていきたいですね。福島の農業高校の生徒は非常に熱心でGAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)を取得している学校があるんです。GAPは農業において食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取り組みです。生徒たちは「福島の食は危ない」と言われることにショックを受けていて、安全な地元福島の食をPRしたいという気持ちが強いんですね。それは是非応援したいと思っています。次世代のレガシーを残したいですね。

東京オリンピック・パラリンピック2020以降の構想は。

堂下さん 地方のツーリズム創生に積極的に関わっていきたいですね。関係の深い自治体にアドバイザー的な形で入って頂き、共創していきながら町を盛り上げていきたいです。実績のひとつとしては福岡県大川市の家具職人が作り上げた組み立て式のお茶室「無常庵」が商品として出来上がりました。日本の侘び寂びを体験して頂きたいという想いからどのような場所でも茶の世界を楽しめる組み立て式の茶室をつくりました。ジャパンコンテンツがほしいという要望や、日本らしい空間の演出に最適です。
また、品川駅周辺を中心とした品川、田町、芝、高輪、白金、港南エリアを国際交流拠点として盛り上げるためのDMO GATEWAY新品川が発足しました。メンバーは、当社とJR東日本、プリンスホテル等です。その取り組みの一環でプラチナ通りに入ってすぐの商業ビル1階2階にイベントショールームを作ります。いろいろな形で日本のMICEを盛り上げて行きたいと思っています。

The MICE Knowledge Files vol.6

堂下治(ドウシタ オサム)
株式会社八芳園 総支配人室 次長

2011年、(株)八芳園入社。以来、企画・広報、レストラン事業においてマネジメントを任される。
年間約2,000組の結婚式で培った企画・プロデュースのノウハウを生かし、八芳園が受託運営を行う群馬県高崎市の式場においては、現場責任者として5年間で大幅な収益改善へと導いた。
2019年夏に(株)八芳園 総支配人室 次長に就任。これまで無かった異業種・異業界とのコラボレーションを進め、主軸事業である婚礼・宴会に並ぶ、新たな事業態の開発を手掛けている。

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