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日本最大級のインバウンド系オンラインイベント「インバウンドサミット2021日本のインバウンドは終わったのか?」~テーマや地域ごとに30セッションを開催~

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インバウンド業界最大級のオンラインイベント「インバウンドサミット2021」が6月19日、訪日観光メディアMATCHAの主催で開催され、3,600人を超える観光事業者、自治体、省庁などが参加した。後援は観光庁、日本政府観光局(JNTO)、外務省、一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会、株式会社やまとごころ。参加費は無料で、Youtubeを使用して配信された。
このインバウンドサミットは約100人の観光関係者が登壇し、これからのインバウンドについて様々な視点から語るセッションが全部で30セッションも開催されるという大規模なオンラインイベント。

100人以上の多彩な登壇者が揃った

オープニングでは主催者を代表して青木優氏(MATCHA 代表取締役社長)が挨拶。コロナにより大打撃を受けた日本のインバウンドだが、インバウンドは外貨を獲得できる輸出産業として捉えると日本にとって注力すべき産業であることは変わりがない。今後の政府の目標とする訪日観光客は6千万人。1人あたりの消費単価が15万円から25万円に上がると2018年の自動車産業を抜くことになる。訪日観光客数と消費単価をいかに上げるかがこれからの鍵となる。インバウンド復活に向けて正しい準備を進めたいと現状について話した。今後の展望としては、昨年開催された第1回のインバウンドサミットではインバウンドの実態を知り、知見や戦略の共有ができたと思う。第2回となる今回は戦略や草案をブラッシュアップ。来年の第3回では草案をまとめあげて国に提言したい、と展望を語った。

デービッド・アトキンソン氏による基調講演「インバウンド観光復活に向けての展望」

基調講演「インバウンド観光復活に向けての展望」ではデービッド・アトキンソン氏(小西美術工藝社代表取締役社長)が登壇。
アトキンソン氏は、インバウンドを復活させる前段階として、国内観光を活性化する必要がある。コロナ禍で理解が深めるべきところは単価の重要性。国内観光産業の付加価値を高め、ふさわしい単価を求めることで地方を中心に観光産業が元気になることだけでなく体力のある観光産業を築き上げることができる。安ければさらに儲かるという考えは人口激増時代の古い考えだろう。
実際これから日本の観光産業が2023年か2024年にもとに戻るのは間違いない。世界の長い歴史をみればパンデミックと戦い、確かな回復を果たしてきた。今回も悲観することなくこの機会でマーケティング、市場調査、戦略磨き上げ、インフラ整備を徹底的にやることによって再開した後に日本の観光産業の高度な発展を期待している、と話した。

デービッド・アトキンソン氏による基調講演

メインパネルディスカッション「日本のインバウンドは終わったのか?」

メインパネルディスカッションでは訪日観光の未来についてディスカッションが行われた。
メインパネルディスカッション登壇者にはデービッド・アトキンソン氏(小西美術工藝社代表取締役社長)、山野智久氏(アソビュー 代表取締役 CEO)、吉田晶子氏(日本政府観光局(JNTO) 理事長代理)、龍崎翔子氏(L&G GLOBAL BUSINESS, Inc.代表 / CHILLNN, Inc.代表 /ホテルプロデューサー)、青木優氏(MATCHA 代表取締役社長)が登壇。
観光庁が2030年に向けて掲げる目標観光客数6千万人についてはおそらく近いところまで達成できるが、消費額15兆円を達成するには、ひとりあたり消費単価を25万円に上げなければならない。直近の消費単価は15万円で、その差をどう埋めるのかが課題となる。
そのための戦略として①中東・南米・欧米からの観光客を迎えて消費単価の引きあげを図る②商品の単価の引き上げ・高付加価値化を行う③新たな観光コンテンツを造成する、の3つの戦略が必要になってくる。などの話し合いが行われた。

メインパネルディスカッションの様子

このほかにも「これからの日本の観光政策のあり方」や「上がり続けるポスト・コロナの日本に求められる期待値」、「日本の富裕層観光戦略」など気になるテーマで様々なセッションが行われた。全30セッションはすべて以下のリンクから観ることができる。
インバウンドサミット2021 全30セッションのアーカイブ映像を公開します!|今だからこそできるインバウンド観光対策|note

今回の参加人数は昨年比118%増の3614人。開催後のアンケートではサミット全体の良かった点として、「鳥瞰的に業界をとらえ、具体的な課題も織り交ぜ、魅力あるスピーカーを集めた素晴らしいイベントだった」「感動したのは、日本のことを良くしたいと強く思っている人たちがこれだけの人数集まったということです」「全国でこんなに観光に対して頑張っていらっしゃる方々の存在を知れて、パワーをもらいました。この先のワクワクが止まらないです」などの声が寄せられた。筆者も観光業がコロナでかつてない大きな打撃を受けるなか、諦めない前向きな姿勢を見せてもらい勇気をもらった。来年も同イベントが開催されたら参加するかという問いに対しては、99.6%以上の方が「参加したい」「どちらかといえば参加したい」と回答。イベント参加者の満足度の高さが分かる。同イベントは来年も開催予定。(JAPAN MICE NAVI編集部)

名称 インバウンドサミット2021
開催日時 2021年6月19日 ※ライブ配信による開催。
来場人数 約3,600人
来場 無料
公式サイト
主催 株式会社MATCHA

※来年開催予定(詳しい日程などはまだ未定)。

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