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クリエイティブな人材が集まりアイディアを研鑽し次世代スター輩出を目指す。 ~有楽町「Micro STARs Dev. (マイクロ スターズ ディベロップメント)」が始動~

JPEN
株式会社umari代表の古田秘馬さん

「丸の内朝大学」といえば特に若手ビジネスマンや起業家の中であれば誰もが知っている地域プロジェクト。同プロジェクトなど数多くの地域プロデュースや企業ブランディングなどを手掛ける株式会社umariの古田秘馬代表が新しい取り組み「有楽町『Micro STARs Dev. (マイクロ スターズ ディベロップメント)』」を三菱地所などと一緒にスタートさせた。我々の視点でいえばMICEに関係する取り組みでもある。常に最先端で活躍する古田さんにMicro STARs Dev. や古田さんの考えるMICEについて聞いた。

Micro STARs Dev.の中心拠点として、 様々な人・アイディア・文化・食に出逢える多機能型市場「有楽町『micro FOOD & IDEA MARKET』」が2019年12月に、個人単位のアイディアを形にするワーキングコミュニティ「有楽町 『SAAI』Wonder Working Community」が2020年2月にオープンしました。これらの施設はMICEに対応していますか。

古田さん micro FOOD & IDEA MARKETは貸し切りに対応しています。ベニューとして部分や全体でも対応可能ですが、実施内容については確認をさせてもらっています。単純な会場として貸し出している訳ではなく、micro FOOD & IDEA MARKETのコンセプトとも言える実験的な場、新しいプロジェクトを見つけ出す場として活用してもらいたいと思っています。例えば単なる観光フェアでないもの、料理人の交流の場となるイベントにはすでに貸し出しています。
ユニークな取り組みとしては、介護関連の先端事業を研究する場として活用する構想が浮上しています。我々のメンバーも参加し、ディスカッションや講演も行うミーティングの場となります。
また、micro FOOD & IDEA MARKETには本格的な厨房やオープンキッチンを備えています。2013年からスタートしたキリン絆プロジェクト「東北復興・農業トレーニングセンタープロジェクト」では、東北地域および日本の農業の未来を牽引する“人”に注目をし、食と最も関係の深い一次産業の若手経営者をサポートしながら、様々な農業プロジェクトや地域ネットワークの構築を行ってきました。これが今全国に展開されています。必然的に食や料理のイベントを開催するようになりましたが、なかなかプロの料理人に納得して貰える厨房を備えた会場がありませんでした。今回 micro FOOD & IDEA MARKETがオープンするにあたり自分たちで持つことにしました。こだわりの食や料理を提供することができます。従来の日本のMICEにはまだまだ地域や食の視点が欠けていると思います。

micro FOOD & IDEA MARKET 外観
micro FOOD & IDEA MARKETのコンセプトは“好奇心が交差する市場”

ワーキングコミュニティ「SAAI」は茶室やテレビ番組のひな壇のセットのようなスペースがありユニークな施設ですね。

古田さん 会員制の施設ですが法人をターゲットにせず個人会員をターゲットにしています。古き良き時代のサロンのようになっていくのが理想です。micro FOOD & IDEA MARKETがオープンなスペースだったのに対して、こちらはクローズドな施設です。micro FOOD & IDEA MARKET同様、実施内容は精査しますが、MICEに利用できます。インテリアにも拘っていますが、一番注目を集めるのは「BAR変態」です。しっかりとした意味がありますので、一度利用して貰えればと思います。

SAAI入口
ユニークな空間。奥に見えるのは「BAR変態」
テレビ番組のひな壇のようなセットも
会員が交流、刺激しあえる空間。ここから新しいアイディアが生まれる

地方と連携した視察ツアーも手掛けていますね。

古田さん 香川県の三豊市で本格的な讃岐うどんの文化について学びながら、地域を楽しめる「UDONHOUSE」をオープンしました。うどん作りだけでなく、農家での収穫体験、瀬戸内らしいアクティビティも提供しています。外国人観光客も多く来て貰っています。視察のニーズは多いが企業にはプログラムまで作ってあげないといけない。
三豊市に来て貰えればすでにプログラムが完成しているので企業も安心して実施できる。特長は三豊市の人々とのディスカッションの場もセットされること。丸の内朝大学のメンバーもいずれ地方で活動してみたいと考えている人も多く、このディスカッションは刺激になります。地元の人にとっても都市部の人の考えを聞ける貴重な機会です。こういったディスカッションは地方には都市部に比べてITなどの必要な先端技術を持つ企業が少ないので、都会の技術者と地方企業のマッチングの場ともなっています。

有楽町「Micro STARs Dev.(マイクロ スターズ ディベロップメント)」とは

三菱地所が有楽町エリア再構築に向けた先導プロジェクトとして2019年12月にスタートさせた。「街の輝きは人がつくる」をコンセプトに多彩な人材との交流や協業によって見出した、まだ世の中で価値が定まっていない(=microな)人、アイディア、コト、モノが、有楽町を舞台にcultivate(交わり・耕し・育み・磨く)され、大手町・丸の内・有楽町へ、そしてゆくゆくは日本全国・世界へ広がっていくような“仕組み”を作り上げることを目指すプロジェクト。プロジェクト活動の中心拠点として、二つの施設がオープン。様々な人・アイディア・文化・食に出逢える多機能型市場「有楽町『micro FOOD & IDEA MARKET』」が2019年12月に、個人単位のアイディアを形にするワーキングコミュニティ「有楽町『SAAI』Wonder Working Community」が2020年2月にオープンしている。同プロジェクトには、プロジェクトを推進していくプロデューサーとして、丸の内朝大学等の実績から地域プロデュースや企業ブランディングにおける豊富なノウハウを有する株式会社umari代表取締役の古田秘馬氏を中心に、様々なジャンルから多彩な計16人のプロデューサー陣が参画。参画プロデューサーは、まだ世の中で価値が定まっていない(=microな)人・アイディア・コト・モノを見出すことに加え、プロデューサー同士のコラボレーションや、有楽町で働く人、訪れる人達と共に、プロデューサー自身が「やってみたいこと」に次々と取り組んでいく。有楽町では、プロデューサー陣が街を舞台に牽引するプロジェクトの他、誰もが自由にプロジェクトを表現できる開かれた街づくりを推進していく。

有楽町「micro FOOD & IDEA MARKET」

“好奇心が交差する市場”というコンセプトのもと、様々な人・アイディア・文化・食に出逢える多機能型市場。 ①ステージ②飲食提供を通じた“街の憩いの場”③物販・展示の3つの機能を持ち、これらをかけ合わせながら、まだ価値の定まりきらないモノ・コトを対外的に披露する実験的な取り組みを行う。
①ステージ機能としては、多彩なイベントを実施できる音響・映像設備を備えたステージゾーン(約180㎡)を設置。有楽町「Micro STARs Dev.」のプロデューサー陣の企画するイベントや、店舗を訪れた人がその場で気軽に参加できるイベントを中心に、偶発的な出逢いや気づきの空間を提供。
②飲食提供を通じた“街の憩いの場”としての機能は、新しい物流の仕組み「産地直送あいのり便」によって運ばれてきた日本各地の食材を中心に、デリ形式で気軽に味わえるメニューを提供。完全キャッシュレス&キャッシュオンでの提供。料理家/地域フードプロデューサー比嘉 康洋氏によるmicroな“菌”に着目したフードメニュー開発を行う。メニュー例、すべて税込。サラダor雑穀米+3 種デリ+スープ1,300円~、コーヒー380円/クラフトビール780円~。丸の内仲通り側に「縁側」を設置し、道行く人もふらりと気軽に立ち寄ることができる、街に開かれた空間を演出。
③物販・展示機能としては、TOKYO ART BOOK FAIRによるアートブック自動販売機、CAMPFIREによるクラウドファンディング商品支援コーナー、離島の経済圏を作るリトラボによるmicro islandコーナー、世界が認める日本の技術とデザインを繋ぎ、新しい驚きに溢れた商品を手掛ける「TRINUS」によるデザイナーズプロダクトの販売など、microなアイディア・物販が盛り沢山。商業店舗として、店舗経営情報の徹底的な見える化に取り組み、食材備品自動発注の仕組みの導入、店舗従業員の大入り給与制度の導入(開発中)など、株式会社EBILABとの協業により、新しい商業店舗の在り方を追求していくほか、サービス業の働き方改革にもチャレンジ。

有楽町「SAAI」Wonder Working Community

潜在的な異能・異才人材が集まり、相互に交流・刺激することで新しいアイディアが生まれて成長し、形になる仕組みを持った、単なる「ワークスペース」に留まらない「ワーキングコミュニティ」。「SAAI」という名称は、彩(=多種多様な人材)、才(=異能・異才が集まる空間)、祭(=会員同士が交流・刺激されるイベント)、斎(=書斎のように集中できる空間)の意を込めた読み仮名“SAI”と、「差(=“SA”)」を「愛する(=“AI”)」という前述のコンセプトを体現する言葉の2つを組み合わせた造語。三菱地所では、これまでスタートアップ企業を対象としたインキュベーションオフィスを整備してきたが、「SAAI」ではイントレプレナー(社内起業家)をメインターゲットとしている。勤務先に在籍しつつ何か新しいことに挑戦したい人、新規事業担当として自社内で模索している人など、既存の枠に捉われない「個」を育み、兼業・副業時代に個人が活躍できる拠点を目指す。「SAAI」の会員は有楽町「Micro STARs Dev.」で紹介したプロデューサーに加え、各方面で活躍するクリエイター・アーティストなど多彩な人材との接点を持つことも可能なほか、他会員との交流を通じ、自らのアイディアを更に深めることができる。

「SAAI」の特徴

①様々な事業支援プログラムや自己負担可能な価格設定の会員種別を提供。
②STUDIOシステムの導入
③人と人をつなぐコミュニティマネージャー「チーパパ&チーママ制度」を導入
④「SAAI」のアイディアを「micro FOOD & IDEA MARKET」で形として実験できる仕組み

The MICE Knowledge Files vol.7

古田秘馬(フルタ ヒマ)
株式会社umari 代表取締役

プロジェクトデザイナー。株式会社umari代表。
東京・丸の内「丸の内朝大学」などの数多くの地域プロデュース・企業ブランディングなどを手がける。農業実験レストラン「六本木農園」や讃岐うどん文化を伝える宿「UDON HOUSE」など都市と地域、日本と海外を繋ぐ仕組みづくりを行う。現在はレストランバスなどを手掛ける高速バスWILLER株式会社やクラウドファンディングサービスCAMPFIRE、再生エネルギーの自然電力株式会社・顧問、医療法人の理事などを兼任。

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