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大阪中之島美術館で関西ゆかりの若手作家を紹介する展覧会「Osaka Directory」(おおさか ディレクトリ)スタート~関西のアートシーンを盛り上げ大阪の魅力向上に繋げる~

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大阪中之島美術館。漆黒の直方体に窓が設けられた人目を引くデザイン
大阪中之島美術館。漆黒の直方体に窓が設けられた人目を引くデザイン

2022年2月に開館したばかりの大阪中之島美術館(大阪市北区)では、関西・大阪21世紀協会と共催事業として関西ゆかりの若手アーティストを紹介する企画「Osaka Directory」(おおさか・ディレクトリ)を8月から開催する。
 将来の活躍が期待される関西ゆかりの若手アーティスト発掘と活躍の場の創造を目的とする個展形式の展覧会。継続的に実施し、関西のアートシーンを盛り上げ、また大阪や関西の若手アーティストが世界に羽ばたいていくきっかけになるようにとの想いが込められている。大阪中之島美術館の2階多目的スペースで開催され、無料で観ることができる。
「ディレクトリ」とはIT用語でファイルデータを整理し分類するためのフォルダ等の意味。関西若手アーティストファイルをディレクトリに格納していくように、大阪中之島美術館から若手アーティストの活動を広く世に発信していく。

記者発表会の様子
記者発表会の様子

記者発表会

6月15日には記者発表会が開催された。菅谷富夫・大阪中之島美術館館長は「大阪の美術館として大阪、関西ゆかりの若手アーティストの発表の場を作る事はやらなければならないと当初から思っていた。大阪21世紀協会から『こういった企画を考えているがどうだろう』と声をかけて頂いて、うちも同じ事を考えており共同事業となった。この美術館の特徴のひとつとして、自分達だけで出来ない事は会社や団体などと連携して取り組むのをスタイルとしている。まさに今回の企画は連携のひとつ」と企画の経緯について説明。
「若手作家活躍の場を作るのは大阪の魅力アップに繋がる。大阪はアートに興味がない街と言われてきたが、実際この美術館がオープンすると多くの大阪の方に来て頂いている。大阪の人は美術が好き。しかし若い作家が多く住んでいるわけではない。この取り組みが若いアーティストが大阪に住むメリットやきっかけになれば良い。それは大阪がアートに対して豊かになるということ」と同企画が大阪のアートや魅力向上に繋がると話した。
﨑元利樹・関西・大阪21世紀協会理事長は「関西・大阪21世紀協会は文化の力で40年街づくりをしてきた。大阪は豊かな文化を育んできた街だ。しかし今のアートの状況を見ると充分なものではない。この企画で若手アーティストの活躍の場をつくり今の大阪のアートの状況を変えたい」と話した。

菅谷大阪中之島美術館館長
菅谷大阪中之島美術館館長
﨑元関西・大阪21世紀協会理事長
﨑元関西・大阪21世紀協会理事長

2022年度で取り上げる3人のアーティスト

記者会見には同企画展で2022年度に取り上げる3人の若手アーティストも出席。2022年8月6日~9月11日は赤鹿麻耶さん、11月23日~12月25日は貴志真生也さん、2023年1月20日~2月26日は遠藤薫さんの個展を開催する。
赤鹿さんは1985年大阪府生まれ。2008年関西大学卒業。2010年ビジュアルアーツ大阪写真学科卒業。11年作品「風を食べる」で第34回写真新世紀グランプリ受賞。大阪を拠点に海外を含む各地で個展、グループ展を開催。夢について語られた言葉、写真、絵や音など多様なイメージを共感覚的に行き来しながら現実とファンタジーが混交する独自の物語世界を紡ぐ。
貴志さんは1986年大阪府生まれ。2009年京都市立芸術大学彫刻専攻卒業。看板、建物、社会といった人によってつくられた環境をモチーフとし、その意味を問い直す作品を制作。発砲スチロール、角材、ブルーシートなどの工業資材を見立てによって作品とする。素材は規格そのままに、作家の手の痕跡を残さないように意識され、不要な意味を排除したシンプルな形態へと落とし込まれている。
遠藤さんは1989年大阪府生まれ。2013年沖縄県立芸術大学工芸専攻染織科卒業。16年、志村ふくみ(紬織、重要無形文化財保持者)主宰アルスシムラ卒業。沖縄や東北をはじめ国内外でその地に根ざした工芸と歴史、生活と密接な関係にある政治の関係性を紐解き、主に染織技法を用いて制作発表を続けている。主に雑巾や落下傘、船の帆などを制作し、「使う」ことで布と生と人々の生を自身の身体を用いてパフォーマティブにトレースし、工芸の本質を拡張することを制作の核とする。

関西・大阪ゆかりの若手アーティスト3名。赤鹿さん(左)貴志さん(中央)遠藤さん(右)
関西・大阪ゆかりの若手アーティスト3名。赤鹿さん(左)貴志さん(中央)遠藤さん(右)
菅谷館長(左)赤鹿さん(左から2番目)貴志さん(中央)遠藤さん(右から2番目)﨑元理事長(右)
菅谷館長(左)赤鹿さん(左から2番目)貴志さん(中央)遠藤さん(右から2番目)﨑元理事長(右)
現代美術作家ヤノベケンジさんによる「シップス・キャット(ミューズ)」(2021)が人気
現代美術作家ヤノベケンジさんによる「シップス・キャット(ミューズ)」(2021)が人気

大阪中之島美術館について

1983年に美術館構想が発表されてから約40年の時をかけてオープンしたアートファン待望の美術館。⼤阪の政治・経済・⽂化の中核であり、⽔都のシンボルである中之島の新たな注目スポットだ。「⼤阪と世界の近代・現代美術」をテーマとするコレクションを核に、アートの新たな価値を提⽰する展覧会や多彩なイベントを開催している。これまでに所蔵した6000点を超えるコレクションから代表的作品を選び、全展⽰室を⽤いて⼀堂に公開した「Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり―」(開催期間2022年2⽉2日‒ 3⽉21⽇)や、イタリア出⾝のアメデオ・モディリアーニ(1884−1920)の国内外で所蔵される作品を中⼼に、同時代のパリを拠点に繰り広げられた新しい動向や多様な芸術の⼟壌を⽰し、モディリアーニ芸術が成⽴する軌跡をたどる「モディリアーニ ―愛と創作に捧げた35年ー」(開催期間2022年4⽉9日‒ 7⽉18⽇)など開催された展覧会は盛況で大阪のアートへの関心の高さが伺える。また、大阪中之島美術館では最大300人収容可能なホールやワークショップルーム、屋外芝生広場などの施設を会議、レセプション等で利用することができる。今後オープン予定のレストランからはケータリングも可能。ユニークベニューとしてパーティーを開催することができる。(JAPAN MICE NAVI 編集部)

大阪中之島美術館ホームページ:https://nakka-art.jp/

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