
新観光列車「SAKU美SAKU楽」出発式
岡山県で2022年7月1日から9月30日まで「岡山デスティネーションキャンペーン(以下、岡山DC)」が開催される。デスティネーションキャンペーンとは、県や観光事業者、JR6社が取り組む大型観光キャンペーン。期間中は様々な特別企画が開催され、全国から誘客を図る。岡山県が夏の期間にデスティネーションキャンペーンを開催するのは初めて。岡山県の旬のフルーツを味わえる企画や「晴れの国 岡山」の豊かな自然を存分に楽しめる季節だ。5つのテーマ(アート・ビュー・テイスト・ヒストリー・リラックス)にあわせた多彩な観光素材を用意。また岡山DCに合わせて、新たな観光列車「SAKU美SAKU楽(さくびさくら)」がデビュー。鉄道開業150年や山陽新幹線岡山開業50周年の記念イヤーに合わせた「おか鉄フェス 2022」などの列車イベントも開催される。本記事では岡山のおすすめスポットを紹介する。
桃太郎ゆかりの吉備津神社で鳴釜神事を体験
岡山県には有名な昔話「桃太郎」にまつわる遺跡や神社などが数多く残っている。吉備津神社もそのひとつで、主祭神・大吉備津彦命(おおきびつひこのみこと)は桃太郎のモデルとして知られる。鬼退治の矢を置いたとされる矢置岩や鬼の首を埋めたと言われる御竈殿(おかまでん)なども見ることができる。神社の本殿と拝殿は国宝に指定されており、比翼入母屋造(吉備津造)の本殿は全国でもここでしか見られない建築様式を採用している。本殿から続く全長360mの美しい廻廊も見どころ。今回は特別に普段昇殿できない本殿にあがり拝礼。本殿と拝殿の説明を受け巡った。また釜のなる音で吉凶を占う「鳴釜神事」を体験。岡山DC期間中は「正式参拝と境内案内・鳴釜神事」の特別参拝の体験ができる。開催日は8月7日、22日、9月5日、18日。時間は10時から11時。料金は1、000円で、2日前までにメール(info@kibitujinja.com)で予約が必要。





「ジャパンレッド」発祥の地、吹屋ふるさと村
岡山県高梁市にある吹屋は、江戸時代から明治時代にかけて赤色顔料の弁柄と銅生産で栄えた町。豪商たちは豪邸を各々豪華に建てるのではなく、相談した上で赤銅色の石州瓦と弁柄色の外観で統一された赤い町並みを作り上げた。旧街道沿いには今も赤い町家が軒を連ねる独特の景観を見ることができる。2020年に日本遺産の認定を受けた。旧吹屋小学校は、明治時代に建築され、2012年3月に閉校するまで日本最古の現役木造校舎だった。映画やテレビドラマのロケ地で使用されていたが、保存修理工事を経て2022年4月から体験型施設に。「学び」と「遊び」をコンセプトにノスタルジックな常設展示や「ジャパンレッド」をXRで体験できる。夜間にはライトアップも。
吹屋銅山笹畝坑道もあり、吹屋の発展の歴史を知ることができる。江戸時代から大正時代まで採掘されていたもので、主に黄銅鉱、硫化鉄鉱を産出していた坑道。1978年に復元され、坑内を見学できるようになった。年中15℃前後と天然のエアコンを体験できる。







JR西日本のMaaSアプリ「WESTER」
デジタル技術を活用して様々な移動や生活サービスをシームレスに提供するJR西日本のMaaS(Mobility as a Service)アプリ「WESTER」。岡山DCではこのアプリを活用した企画を2つ用意。ひとつは原田マハさんが書き下ろした小説「晴ればれ、岡山ものがたり」の舞台・岡山を巡るチェックインラリー。4つのコースがあり、対象スポットに行きスタンプを集めると原田マハさん本人の声で語る執筆後記を聴くことができる。全てのコースのスタンプを集めるとJR西日本とファッションモデルで女優の中条あやみさんコラボのマスキングテープが貰える。さらに抽選で岡山県の特産品が当たる。もうひとつの企画は山陽新幹線岡山開業50周年を記念し、岡山・備後エリアの駅やハローキティ新幹線1号車と観光スポットなどでチェックインラリーを開催。スタンプ1個でデジタルプレミアムをプレゼント、スタンプ2個以上でオリジナルキティグッズ等が抽選で当たる。

奈義町現代美術館
3組のアーティストに巨大作品を制作依頼し、作品と全体の空間を建築化。作品と建物が半永久的に一体化した公共建築として世界で初めての体感型ミュージアムの先駆けとなる美術館。開館当時から展示室の一般の撮影が可能で昨年はインスタ映えスポットとして開館年に次ぐ2番目の来場者となった。展示室は「太陽」、「月」、「大地」の3つから構成される。


太陽の部屋は円筒形の不思議な空間で前方からの自然光で他の見学者が影絵のように見える。左右に京都の龍安寺の石庭のオブジェが左右対称に置かれている

月の部屋は白い三日月のかたちをした大きな部屋。見学者の足音が室内に響く。壁面には3つの黄金色のオブジェ「HISASHI」が取り付けられている

大地の部屋は、ステンレスのワイヤーの弧の連なりが続く。入口からはオープンエアーで中庭のような方形の水の上、次いで梁壁で枠取られた後景の水の上、屋内に入り長い廊下のような部屋へ続く
奈義町現代美術館では、DC期間中の8月20日、9月24日の18時から20時に「ミュージアム×ナイト奈義MOCA2022」イベントを開催。夜の美術館を特別開館し建築や常設展示作品をライトアップ。音楽や映像で演出され、幻想的な空間を体感できる。
グリーンヒルズ津山
津山市街地北部の丘陵地にある、緑あふれる公園。25ヘクタールの広大な敷地内にリージョンセンター、レストラン、地産地消センター「サンヒルズ」など、多様な施設がある。小さな子どもと一緒なら「トリムの森のわんぱく城」、花好きな人には「フラワーガーデン」、一人でのんびりしたい人には南敷地の「レストラン下の木陰」や北敷地の「多目的広場」ほか、ピクニックやワンちゃん連れの散策、ジョギングなど、多目的に使える。インスタ映えスポットとしても人気。「サンヒルズ」では岡山県産の桃やぶどうなどのフルーツや購入できる。岡山DC期間中は緑あふれる公園にある花畑が特に写真撮影スポットとしておすすめ。



岡山県北エリアを巡る新たな観光列車「SAKU美SAKU楽」
2022年7月、岡山DCに合わせ、JR津山線で新たな観光列車「SAKU美SAKU楽」がデビューした。岡山駅~津山駅間を、金、土、日曜日は臨時列車として1両で、月曜日は定期列車(快速ことぶき)に連結して1日2往復ずつ運行する。津山城など津山市中心部の観光に、名湯・美作三湯(湯原温泉、湯郷温泉、奥津温泉)や桜の名所など自然に恵まれた岡山県北エリアを旅するのにぴったりの観光列車だ。車窓からは旭川や県北ののどかな田園風景を楽しめる。車内では特製弁当またはスイーツ、沿線のお土産品などでおもてなし。列車によって提供する内容が異なる。弁当はホテルグランヴィア岡山監修の岡山ばら寿司の特製弁当またはミシュランの星を獲得の地元の人気店「Okayama Table TERRA 」のイタリアンシェフ寺田真紀夫氏監修の特製弁当。スイーツは地元の人気店「フレッシュタルトのお店 STYLE」が手掛けるオリジナルスイーツセットが味わえる。
列車名は美しさ、楽しさを「作」る、笑顔・花が「咲く」、その地の美しさや楽しさを探し求める「索」という3つの「SAKU」を取り入れ、淡いピンク色の車体カラーにマッチし愛着がわくものを公募の中から選んだ。車体は、温泉、おもてなしがもたらす癒しや、岡山県北エリアに名所として点在する桜をイメージした淡いピンク色に風に運ばれた四季折々の花びらをデザイン。車内は岡山県北エリアの山や森の自然をイメージした、グリーンやブラウンを取り入れた落ち着いたカラーリング。各座席にはテーブルが設置。車内で提供する食事やドリンクが楽しめるようにした。




岡山のグルメ①岡山ばら寿司
岡山市北区で昭和50年から店を構える寿司・割烹「喜怒哀楽」は、旬の素材を使った和食と居心地の良いおもてなしで旅客を迎える。岡山ばら寿司は瀬戸内海の海の幸と旬の山の幸を贅沢に盛りつけたお寿司。「喜怒哀楽」ではシャリの中に混ぜる干瓢や牛蒡、蓮根などの中具や上に載せる金糸卵も全て手作りの岡山ばら寿司が頂ける。



岡山のグルメ②フルーツパフェ
フルーツ王国として知られる岡山県。岡山県産フルーツを気軽に楽しんでほしいと始まったのが、2009年に岡山市からスタートした「フルーツパフェの街おかやま」。フルーツは季節ごとに変わり、白桃やピオーネ、マスカットなどを岡山市内のホテル、カフェ、洋菓子店などでパフェで楽しめる。
ホテルグランヴィア岡山1階のロビーラウンジ「ルミエール」では白桃を丸ごと1個使った「岡山県産白桃パフェ」(7月初旬~8月中旬)を販売。ホテルグランヴィア岡山は山陽新幹線岡山駅からすぐなので便利な立地。数量限定のパフェは12時からの販売。2,300円。フォトジェニックなパフェだ。

岡山のグルメ③津山の肉料理
津山は明治以前から、近江彦根藩(滋賀県彦根市)と並んで「養生喰い」の本場だったことから地域に根付いた肉料理がある。近年、津山の肉料理を全国に知らしめたのはB級グルメとして知られるホルモンうどんだろう。そんな津山では他の肉料理も注目を集めメディアに取り上げられ、肉料理目当ての観光客も増えている。「干し肉」は、ビーフジャーキーと異なり、完全に乾燥されていない。提供する店によって味や風味も異なるという。「ヨメナカセ」は、津山地域での牛の大動脈の呼び名。焼き肉店ではハツモトとして出されるメニュー。塩・コショウまたはしょうゆで味付けして、一品料理として提供される。名前の由来が諸説あり、ユニークなものも含まれる。「そずり肉」は骨の周りの肉をマグロの中落ちのように骨からそぎ落とした肉。そぞり鍋やおにぎりの具材にも使用する。



新宿泊施設とリニューアルフロア情報
岡山市内や津山市内の宿泊施設の情報が気になるところ。岡山市内では、フルーツパフェでも登場したホテルグランヴィア岡山が12Fと14Fフロアを「スーペリアフロア」として、17Fと18Fをデザインコンセプトに「岡山ラグジュアリー」とした「グランヴィアフロア」としてリニューアルしている。


津山市内では、ザ・シロヤマテラス津山別邸がオープン。ホテルニューアワジグループの運営で、リゾート旅館やアーバンリゾートタイプのホテル。鶴山公園を遠望する露天風呂テラス付き特別客室をはじめ、カジュアルな旅行やビジネス出張にも利用できるリーズナブルな客室、愛犬と旅行できるドッグフレンドリールームなど、全11タイプ65室の客室がある。朝食ビュッフェでは目の前でおにぎりを握ってもらえ、具材は一般的なものから津山らしいそずり肉も選べる。



旅慣れた人にはDC期間中にキャンペーン地域を旅先にすることで割安であったり、特別な企画やイベントに参加できたりするメリットがあることは知られている。MICEを実施するにあたってもDCは実施地域の発表が2年前であったり、本キャンペーン前年にはプレキャンや、本キャンペーン翌年にはアフターキャンペーンが開催されることが多くあるなど主催者にとっては条件が良い。もちろんキャンペーン中にはその恩恵が参加者に受けられる。特に岡山は今回紹介のホテルグランヴィア岡山をはじめMICEに対応した施設もある。小グループから大型MICEまで開催できる都市だ。(JAPAN MICE NAVI 編集部)
