MICEとは、ビジネスイベントのことである。ではビジネスパーソンしか関係ないか?というとそんなことはない。近い将来ビジネスパーソンとなる人の多い大学生もまたMICEといって良いイベントを多数経験している。大学生自身が運営主体となるものとしては、ゼミ(研究室)やサークル活動の、勧誘や歓迎会、合宿など。そして大学生が参加者となるものとして、企業との接点であるシューカツ(就職活動)など。
今の大学生から、はたしてこれらの”MICE”はいったいどう見えているのか?学生から見たMICEについて率直な意見や感想、考察を知ることは、大学生をターゲットとしてるものだけでなく、あらゆるMICEの今後を考える上で多いにヒントが得られるはずである。(JAPAN MICE NAVI 編集部)
※学生コラムのリード文は共通。
【シリーズ特集2】私の体験したオンライン就職活動
企業の採用試験はMICE(ビジネスイベント)の一つとして捉えることができます。学生は就職活動でビジネスイベントに参加すると言えます。
コロナ禍でオンラインMICEが普及し、就職活動では、オンラインとリアルの併催が進んでいます。今のところ私の採用試験の多くはオンラインとなります。私自身が少し就職活動を始めている身としてオンラインで良かったと思うことが2点あります。
1点目は普段あまり関わることができない人たちとオンラインでは気軽に会え、話などができる点です。当然、参加した企業の社員はもちろん、普段では関わることがない他大学の学生とも話ができます。大学の先輩から話を聞くと、例年の対面形式よりフランクになっているのではないかと感じました。採用試験の雰囲気がオンラインでは和やかになっています。
とくに服装は今までの対面形式だと就活のスーツやオフィスカジュアルなどが当たり前のような雰囲気になっていましたが、オンラインでは、各々が自宅から好きな服装で参加しています。社員もカジュアルな服装です。
好きな服装を見ると学生と社員がお互いの人柄を理解しやすいように思えます。具体的な面接が始まる前のアイスブレイクの時間でもカジュアルな服装だからこそ、お互いの素の部分が垣間見えた気がします。


2点目はオンラインだからこそ、逆に人と人との距離が近くなっているという点です。この距離は心理的な距離の意味です。以前のような対面形式だと、先ほどのオンラインとは逆にお互いがスーツやオフィスカジュアルで緊張感も高く、意識して硬くなってしまうと思います。なかなか質問が出にくく雰囲気で、かつ質問内容もその会社に関することしか出ないことが多いと先輩から聞きました。今のオンラインでは会社に関する質問だけでなく、実際に社会人として働く上で大事なことや、社員のみなさんの実際に就職活動を行っていた時の方向性や軸、そして学生時代の思い出などの内容がざっくばらんに話してもれえることが多いと感じます。企業からもオンラインの場を生かした話しやすい環境づくりや、話しやすいテーマの提示を行なっていると感じました。再度、先輩から聞いた話でユニークだなと思ったのは、既にオンラインが主流となっていた昨年夏や冬のインターンでは、ウーバーイーツなどの配達システムを用いて、昼食などが支給されていたとのことです。今までの対面形式でのランチタイム時の交流形式から、各人がそれぞれの自宅で同じものを支給されオンライン上で食べながら話すということが行われていたようです。こうした傾向は今年でも続いており、企業のホームページにもそういった文言が記載されている場合があります。
ここまで私の考える採用試験や就職活動でのメリットを挙げてきましたが、実際に先輩から聞いた話だと、やはりオフィスや会場で対面方式を実施した企業の方が、志望度が上がったということもあったそうです。私自身も数回ですが、実際に対面形式のイベントに参加して、とても関心が高まりました。
オンラインでは実際に企業や試験会場に行くことが出来ません。自宅といういつもの環境と何も変わらないため、実際のオフィスや社員の雰囲気がわかりません。今年もオンライン開催が続いていく傾向があり、せっかく社会に出る前に多くの企業の社内などを見学できる貴重な機会が失われ、ホテルや大型会議室などが試験会場となる非日常空間も体験できなくなり残念です。
企業によっては参加人数を例年よりも減らして、実施しているところもあります。そうした企業の中には、本社だけでなく、遠方からのインターン参加者に保養所などを宿泊場所として提供しているという話も聞きます。オフィス以外の施設を見ることができてうらやましいと思いましたが、あくまで限定的な話で多くの人が体験できたわけではありません。
オンラインと対面方式のメリットはそれぞれあり、今後はオンラインと対面方式は併用されていくと考えます。
オンライン開催も企業と学生の声を取り入れながら、さらに良いものになると感じます。
私自身は実際に会社に赴いて参加した方が、非日常の空間に行くことで心なしかワクワクした気持ちが生まれたような気がするので、これからは対面形式かどうかを意識して選ぶ人もいるのではないかと思いました。(JAPAN MICE NAVI 学生ライター/早稲田大学3年男子)
※学生コラムについては敬体を採用。