ARTICLE

【シリーズ特集3】学生ライターによる、学生から見たMICE

JPEN

MICEとは、ビジネスイベントのことである。ではビジネスパーソンしか関係ないか?というとそんなことはない。近い将来ビジネスパーソンとなる人の多い大学生もまたMICEといって良いイベントを多数経験している。大学生自身が運営主体となるものとしては、ゼミ(研究室)やサークル活動の、勧誘や歓迎会、合宿など。そして大学生が参加者となるものとして、企業との接点であるシューカツ(就職活動)など。
今の大学生から、はたしてこれらの”MICE”はいったいどう見えているのか?学生から見たMICEについて率直な意見や感想、考察を知ることは、大学生をターゲットとしてるものだけでなく、あらゆるMICEの今後を考える上で多いにヒントが得られるはずである。(JAPAN MICE NAVI 編集部)

※学生コラムのリード文は共通。

【シリーズ特集3】学生のサークル、ゼミ活動からMICEを知る

私たち学生たちにとってMICEという単語はあまり馴染みがなく難しそう…という印象を受けます。実は私たちが日頃から行っているサークルやゼミなどの学生イベントはMICEであり、大学生がMICEを理解するヒントもたくさん隠れています。今回はサークル、ゼミを題材に大学生とMICEの関わりを探って行きたいと思います。
MICE(マイス)とは、Meeting(会議・研修・セミナー)、Incentive tour(報奨旅行・研修旅行)、Convention またはConference(大会・学会・国際会議)、ExhibitionまたはEvent(展示会・見本市・イベント)の頭文字をとった造語で、ビジネスイベントまたはビジネストラベルの総称。一般の観光旅行に比べ消費額が大きいことなどから、MICEの誘致に力を入れる国や地域が多く、日本でも、国や自治体が積極的に取り組んでおり、企業でも新規参入が進んでいます。
各要素が重複することからMICE(マイス)とだけ使う場合も多く対象も幅広いことから、和訳や解説文に差があり、大学生にはわかりにくくなっています。
初めにサークルについてです。サークルは部活や体育会系に比べて遊びでしょ?という印象を持たれてしまうことが多いですが立派な団体活動です。サークル活動をMICEとして紹介していきます。
私が所属しているバスケットボールサークルの1年間の活動の流れを確認していこうと思います。春には新入生歓迎会があり、新入生歓迎会の前から徐々にSNSでの勧誘活動も始めていきます。サークルがどんなサークルなのか、サークルメンバーの顔写真付き紹介などをInstagramなどのアカウントを通じて発信していきます。
大学主催の新入生歓迎会では、ブースを出してビラ配りや相談会を行います。サークルに入ってもらうために新入生の履修登録を手伝ってあげたり、楽に単位を取れる通称“楽単”を教えてあげたりするなど、身近な先輩になれるように心がけます。
私たちのサークルでは、新入生歓迎会で飲み会を伴う練習や歓迎バーベキューなども行います。
新入生を迎え入れてから週2回ほどを目安に練習を行い、先輩後輩の縦の交流はもちろん同期同士の横の繋がりも深めていきます。学年によっては同期会などを行い、親睦を深めています。今年サークルに加入する新入生が確定してからユニフォーム購入やサークル費の回収など会計活動を行います。
サークル費は、体育館を借りたり大会にエントリーしたりなどサークルの活動費にあたります。サークルでは会計係をつくり確実に回収することを心がけています。ユニフォーム購入は任意の場合が多く、全体の4割ほどしか購入しないこともあります。
新学期や夏休み、春休みなどの区切りの際には合宿を行います。新歓合宿、夏合宿、春合宿です。各自で車を出してグループになって乗車して地方に行き、バスケットボールをしたり花火をしたり飲み会をしたりなどして過ごします。行き先は幹部による話し合いや旅行代理店の人との協議により安いところを探します。サークルでは幹部を中心として練習することを軸にイベントを考えて活動しています。

次にゼミです。私が所属しているのはメディア系のゼミです。ゼミでは様々な活動をしています。主な活動は週一回のゼミ活動があります。ここでは文献を読みレジュメにまとめて報告することが活動内容です。まとめたレジュメを読みながら全体でディスカッションすることがメインテーマとなっています。
他のゼミ活動にはゼミ合宿、学部研究発表会、合同セミナーへの参加、ゼミ体験weeksなどが挙げられます。それぞれに係を設けて、係を中心に進めていきます。
ゼミ合宿は合宿係を中心に日程、行きたい場所などをアンケートによって決めます。LINEのアンケート機能を使用してなるべく早くアンケートをとり予約までできるように工夫していました。
学部研究発表会では自分達が普段、何をテーマにしてゼミ活動を行なっているのか、ゼミ活動の大まかな流れと、今後自分たちがどのようになっていくことが目標なのかについて発表をします。学部研究発表会は自分たちの研究発表を行うと同時に新入生を迎え入れるためにやるともいえます。
ゼミweeksではゼミについて1年生向けに説明会や体験会を行います。普段のゼミに触れてもらうことで、入ってもらう機会を作ります。学部研究発表会とゼミweeksの中で、1年生たちは自分の希望するゼミを決めていきます。
合同セミナーは、同じ学問をいろいろなテーマで学んでいるそれぞれのゼミが集い、1泊2日程度の宿泊で自分たちの研究の成果を発表し、交流するセミナーです。大学単位ではなくいろいろな学校のいろいろなゼミが集まります。合同セミナーに向けても、係をつくり、係を主体に研究発表の題材や、どのような流れで発表するのかなどを話し合い、決定していきます。
サークルやゼミでは話し合いなどからイベントを作っていく流れが沢山あります。

ここからMICEの要素を探っていきたいと思います。ゼミで行われる合同セミナーはMICEのM(セミナー)とC(会議)に当てはまると考えられます。同じ学問を学んでいるゼミが一堂に会し、自分たちのゼミの研究を深め合う合同セミナーは、関係者を集めて行われる会議と同じ役割を担っていると思います。
学術学会はゼミ活動の延長線上にあるのですから当然と言えます。
サークル、ゼミでの合宿は練習や研究だけのものはほとんどありません。地元の観光施設に立ち寄る、名物のグルメを食べるなど観光を伴います。これはI(研修旅行)と捉えることができます。
実際に合宿のために旅行会社が練習時にセールスに来る場合などもあります。ゼミやサークルの合宿がMICEであることを旅行会社は認識している現れです。
新入生歓迎会はEの展示会と捉えることができます。新入生を歓迎するために今まで自分たちが行ってきた活動を紹介(展示)して、素敵な先輩がいるサークル、ゼミだと思ってもらうためのセールストークとして“楽単”の情報を教えています。これは接客マニュアルにもあたるとみなすことまで出来ます。
InstagramやTwitterなどのSNSによる広報活動は社内や社外に向けた情報発信の新入生歓迎会のための広報活動になります。
他にも同期会で行うボーリングなどはチームの絆を深めるチームビルディングの活動とみなすことが出来ます。チームビルディングは、企業の研修の場でも重要視されています。
サークルやゼミは大学生のビジネスイベントと捉えることができます。学生の私たちはサークル、ゼミなどの日常からMICEの要素を見つけ意識することで、社会に出てからの企業活動や地域コミュ二ティ活動などに役立てていくことができます。(JAPAN MICE NAVI 学生ライター/法政大学2年女子)

※学生コラムについては敬体を採用。

ARTICLE RECOMMENDED