
株式会社電通の中に実際に部署として存在する特殊クリエーティブチーム「電通Bチーム」。一風変わった名称には2つの意味がある。ひとつは、広告の本業(A面)とは別の個人的活動(DJや小説家、AI、金融などジャンルはそれぞれ多岐にわたる)の側面(=B面)を持つ社員約50人が集まっていることから。ふたつ目の意味は「プランB」。アイデアやイノベーションは情報の組み合わせや掛け算によって生み出されるという。それぞれがB面で集めた体験的でエッセンスの濃い一次情報を組み合わせて、今までとは違う視点のアプローチ「プランB」を提案する。今までBチームでは取り組んできたプロジェクトで得た知見をもとに、新しいコンセプトや新しいアイデアを生むオリジナルプロセスを独自で開発し、サービスとして提供している。アイデア発想法は30種類以上、新しいコンセプトは85以上を有するという。雑誌Forbes JAPANとのコラボにより情報も発信。多様な企業、自治体などで導入されている。Bチームのホームページでも一部公開されているのでぜひ読んでみてほしい。Bチームの活動はMICEと親和性が高い。すでにビジネスイベントの実績もある。今回はMICEのプログラムとしておススメのものを紹介。またBチームがMICEそのものを開催している事例も合わせて紹介する。
ビジネスイベントやチームビルディングに活用できるプログラム①「ショートショート発想法」

小説家のB面を持つメンバーが発案した「ショートショート発想法」。子供からお年寄りまで延べ1万人に小説の書き方を教えてきたメンバーが考えた「誰でも小説が書けるメソッド」を活用し企業向けの発想法を生み出した。短いSF小説を書いて、自分の描く物語から未来の商品やサービスについて考えるというもの。誰もが作家になり、楽しみながらアイデアが生まれる。参加者はまずメソッドを使って自社に関連する現実にはあり得ない「不思議な言葉」をつくる。そこから膨らまして未来の物語を完成させる。「未来予測レポート」などの記事をもとに発想するのではなく、物語の中だからこそ自由なアイデアが生まれる。MICEで実施する場合、温泉地であれば昔の文豪のように宿にこもって小説を執筆する…という演出を加えるのも面白い。
ビジネスイベントやチームビルディングに活用できるプログラム②「ミラクルワードカード」

ゲームデザイナーのB面をもつメンバーらが考案した「ミラクルワードカード」。「夜の〇〇〇」「大人の〇〇〇」「閉店後の〇〇〇」など、その言葉が付くだけでアイデアが膨らんでいく奇跡のような言葉を集め、カードにした。ミラクルワードは電通Bチームが集めた事例や広告のキャッチコピーから100のミラクルワードを厳選。使い方は①テーマの決定②ミラクルワードカードを10枚ずつ配り、テーマと掛け合わせて面白くなりそうなミラクルワードを1枚選ぶ③全員一斉にカードを出す④各々が出したカードについて説明⑤付箋を使いみんなでアイデアを肉付けしていく――というもの。ゲーム感覚で斬新なアイデアが次々と生まれる体験ができる。
ビジネスイベントやチームビルディングに活用できるプログラム③「ダジャレノベーション」

チョコレート菓子キットカットの「きっと勝つ」は受験シーズンの「お菓子の願掛けマーケット」の成功例。また地方創生の場面でも鳥取県が日本で唯一スタバがないことを逆手にとり「スタバはないけどスナバ(砂丘)はある」と発信し「すなば珈琲」をオープンさせPRに繋げるなどダジャレはキャッチーでありつつ、アイデアを飛躍させる力がある。そんなダジャレでイノベーションを起こすために意識的に用いる手法を「ダジャレノベーション」と名付けた。老若男女みんなで共有できるダジャレは場を和ませ、世代を超えてのチームビルディングにも一役買うことだろう。
ビジネスイベントやチームビルディングに活用できるプログラム④「四次元オープンイノベーション」

企業の戦略のひとつとして挙げられるオープンイノベーション。オープンイノベーションで新しい企画、事業を考えるとき、多くの人はコラボ相手にスタートアップや大学、地方自治体などを思い浮かべる。Bチームの場合、時空を超えて「過去と組む」ことを提案する。過去は、企業であれば創業者の言葉や理念、エピソード、社史など。地域で考えれば歴史、地域の偉人など。その企業、その地域にしかできないコンセプトやプロジェクトが生まれるのだ。
Bチームから生まれたMICE①「弘道館2」

先ほど紹介した「四次元オープンイノベーション」。そこから生まれたプロジェクトが佐賀県で開催されている「弘道館2」だ。弘道館は、佐賀県の名門藩校で大隈重信含む佐賀の七賢人を輩出したことで知られる。評判を聞き岩倉具視が息子を京都から留学させたエピソードも残るほどの名門だ。「改革は教育に始まる」という目的で設立され、「自学自習」がモットー。1000人を超える生徒に対し先生はたったの10人程度。先輩が後輩に学んだことをすぐに教えるシステムとなっていた。世界の教育現場では「学び合い」「教え合い」といったことが聞かれるが、佐賀県で200年前から行われていた。
佐賀県出身のBチームメンバーが弘道館の21世紀版として「弘道館2」プロジェクトを佐賀県に自主提案し、見事採用された。「弘道館2」は校舎を持たず、佐賀県内各所で開催される「POP―UP藩校」。佐賀城本丸歴史館、旧唐津銀行、古民家カフェなどユニークな場所で開催される。講座はネットでも配信される。講師陣は佐賀にゆかりのある各界で活躍する先輩たち。「先輩が教える」という弘道館の方針だ。弘道館では「会読」というディベート付き読書会があり、鍋島直正公自身も月に一度参加し、無礼講でディスカッションが行われていた。現代の「弘道館2」では知事を中心に開催されている。「弘道館2」の講座は面白く為になる、をモットーにしており、歴史を一方的に教えるようなものはない。21世紀に必要なジャンル(クリエーティブ、アート、テクノロジー、ビジネス、サイエンス、自然体験、スポーツ、カルチャー、伝統、グローバル、言語、コラボレーション、プレゼンテーション、イノベーション、エンターテイメントなど)を学ぶことができる。県外からも参加が可能。参加の条件は講座により異なる。過去講座は全てHPにアーカイブされている。
Bチームから生まれたMICE②「出島組織サミット」

正攻法では解決できない課題の解決などのため、企業では「出島組織」と呼ばれる組織やチームが増えている。本体組織から離れて、新しいアイデアや事業を生み出すために作られたチームや部署のことだ。そんな日本中の出島組織が長崎県の出島に集結するのが「出島組織サミット」。それぞれが抱える課題や知見をシェアし、「知恵の交易」を行うことで、別のアプローチや突破口を生み出そうというサミットだ。
開催地の長崎県の出島は1634年江戸幕府の対外政策の一環として築造された人工島。鎖国時代に唯一西欧に開けていた港だ。現在は当時の街並みや館の様子が再現されている。当時は世界中の東インド会社の寄港地(出島的な地域)と繋がっていたため、世界中の最先端の文化が集まっていた。
イベントでは長崎市長の挨拶に始まり、「スペシャル出島ツアー」やネットワーキングランチ、複数社の出島組織によるトークセッションなどが開催される。また出島を有する長崎市が出島組織として認定し「出島組織認定証」を授与するユニークなイベントも。(出島組織であることが確認できる資料の提出が必要)。
2022年11月12日開催。時間は11時から17時。東京からの日帰り参加も可能。50人限定(1社2人まで)で、2人参加の場合は10万円、1人参加の場合は7万円。
出島組織をつくろうとしている人の参加も可。第1回目のイベントは完売となったが、今後のイベント情報などは公式webサイトに随時アップ予定。
企業や自治体などの依頼を受けて、課題を解決するBチーム。その解決方法をクライアントとともに探るために独自のメソッドなどを用いてアイデアを生み出す際には、ユニークな会場の方がより盛り上がることが期待できる。併せて研修や視察を実施する場合も、Bチームと組めば従来とは異なる新たな切り口のものが開催できるだろう。
課題が都市と地方の人材交流や移住促進、観光客やMICEの誘致、特産品のブランド化がミッションとなる場合は、会議やイベント開催が付き物となる。研修や会議、視察会や集客イベント、販売イベントなど様々な場面でBチームのユニークなアイデアを活用したMICEが期待できる。企業の組織づくりや地方創生に定番でないアプローチを求めるならBチームに依頼をおすすめする。
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電通Bチームサイト
https://bbbbb.team/