
長崎県は8月19日、西九州新幹線開業1カ月前を記念したプレス向けイベントをJR大阪駅の時空の広場で開催した。9月23日に開業を迎える西九州新幹線。長崎~武雄温泉間が新幹線区間で、武雄温泉~博多間は在来線特急区間となり、武雄温泉駅での対面乗換式で運行される。新幹線開業により長崎~博多間の最速の所要時間は片道約30分、往復1時間短縮される。⼤⽯賢吾・長崎県知事や⻄九州新幹線⻑崎県広報⼤使を務める、⻑崎県出⾝の⼥優・タレントの⻑濱ねるさんも登場し、アクセスが向上する長崎県の魅力をPRした。
大石長崎県知事による挨拶
大石長崎県知事は「いよいよ⻄九州新幹線が9月23日に開業する。多くの方が長崎県に訪れる契機になると期待している。長崎は『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』『明治日本の産業革命遺産』の2つの世界遺産と4つの日本遺産がある。他の地域にはない多様な歴史や文化など多くの観光資源がある。また新幹線開業に向けて新幹線の駅舎や周辺地域において大型コンベンション施設やホテル等の整備が進み、街の佇まいが大きく変わっている。IR誘致やサッカースタジアム、アリーナ、商業施設などを組み合わせた長崎スタジアムシティプロジェクトなど様々な大型プロジェクトが進んでいる。長崎の魅力や変わりゆく街の様子を堪能してもらえるよう県内各地で受入れ準備をしている」と挨拶した。

大石知事と長濱ねるさんによる長崎県の魅力を語るトークセッション
大石知事は五島市出身、長濱さんも幼少期を五島列島で過ごした共通点がある。大石知事は「五島の魅力は海。朝から野球をして、午後は泳いで魚を捕る生活をしていた。美味しい魚を味わってほしい。」と語った。長濱さんは長崎と大阪が舞台のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」(10月スタート)に出演する。「撮影シーンの食卓に五島の魚が並び、実際に地元の方が料理を作ってくださって地元の味をみんなで撮影しながら頂きました」とエピソードを披露。また「小学校の遠足では地引網の体験もした。五島に来たら自分で魚を捕って食べる経験をぜひしてほしい」と語った。
また撮影で長崎と大阪を行き来している長濱さんは「長崎はすごく進化していて、行く度に新しいものに出会えて楽しい。長崎全体で盛り上げて行こうというのが伝わる。新しいエネルギーを感じて、どんどん発展するだろうなとワクワクしている。大阪は来る度に人情味あふれるおもてなしと美味しいグルメを堪能している。新幹線開業で長崎の人も大阪にきてほしい」と相互交流を呼び掛けた。


関西のミシュランシェフらと長崎の食について語るトークセッション
関西のミシュランシェフ、「木乃婦」の高橋拓児シェフ、「一子相伝なかむら」の中村元計シェフ、「La Biographie…」の滝本将博シェフが参加し、大石知事、長濱さんと長崎の豊かな食についてトークセッションを行った。3人のミシュランシェフが長崎の食材を使用してテイクアウトグルメを作り、翌日の観光物産展イベントで販売する企画を実施。
中村シェフは「五島地鶏は甘みと奥深い旨味がありすごくバランスが良い。今回のテイクアウトグルメでは五島地鶏の山椒焼きを作った」と話すと、大石知事は実家が養鶏場であると話し「鶏肉は一番好きなお肉なのでとても(試食が)楽しみ」と話した。高橋シェフは「壱岐島の牛でローストビーフを作った。きめが細かく赤身がジューシーで、旨味が強い。年間900頭しかつくっていない貴重な牛」と説明。滝本シェフは「長崎県の黒毛和牛をハッシュドビーフソースにした。長崎にはのどぐろ、鮑、伊勢海老など美味しい食材が豊富にあるが、牛肉が美味しかったので」とそれぞれ選んだ食材について話した。
また店でよく使う長崎の食材について、中村シェフは「うちは甘鯛の酒焼きが名物で、甘鯛は年間800匹使う。そのうちの70%は対馬や五島列島などの長崎のもの。水温が温かく海流も早い海。運動量が多く餌も豊富で身がしまって油脂分も多くておいしい。サイズも大きい。年間を通して使っている」。高橋シェフは「白身魚だとヒラメ。身が厚くてすごく美味しい。最近は中村さんから紹介してもらった五島列島の伊勢海老が抜群に良い。1・5キロや1.7キロの大きな伊勢海老。お客さんの前でプレゼンテーションして召し上がって頂く。ミソもすごく美味しくて、えぐみがない。水がきれいなのでアクもでない。ミソのソースを作るとすごく美味しい」。滝本シェフは「五島列島の鮑をよく使う。今から20年前に漁師さんと鮑をとる舟に一緒に乗せてもらった。その時に漁師さんに鮑にも神経締めがあると教えてもらった。神経締めをすると鮑を柔らかくするための下処理が要らなくなった。画期的なこと」と話した。そして「新幹線が開業すれば頻繁に長崎へ食材を探しに行けるようになる」と新幹線開業を喜んだ。

テイクアウトグルメの試食会
「一子相伝なかむら」の中村元計シェフの「五島地鶏の山椒焼き」を食べた大石知事は「すごく美味しい。家で食べても山椒の香りが豊かで、地鶏の食感も楽しめると思う」。長濱さんは「噛めば噛むほど旨味が出てくる。山椒のアクセントがすごく効いていて晩酌しながら食べたい」と言うと、中村さんは「キレの良い辛口の淡麗なお酒が合う」とアドバイス。
「木乃婦」の高橋拓児シェフの「壱岐島牛のローストビーフ」を食べた大石知事は「ソースの黒七味がピリッときて美味しい。先ほど鶏肉が一番だと言ったけれど牛肉も美味しい。隠し包丁が入っていて食べると非常に柔らかい」。長濱さんは「臭みがなく食べやすい。コクがあって、黒七味のピリッとした辛みが次々食べたくなる美味しさ」と感想を話した。
「La Biographie…」の滝本将博シェフの「長崎県産黒毛和牛のハッシュドビーフソース」について、大石知事は「肉が柔らかい。ごはんだけじゃなくパスタにかけてもいい塩梅で絡むと思う。付け合わせのピクルスも美味しい」長濱さんは「ホロホロと溶けていくようなお肉。この一品あるだけで食卓が華やかになるよう。子供から大人まで特別な気分を味わえると思う」と話し、3品の特別なテイクアウトメニューを味わった。



8月20日、21日開催「長崎・観光物産展in JR大阪駅」
8月20日、21日はJR大阪駅の各所で長崎県内21市町の名産や名店が集う「長崎・観光物産展in JR大阪駅」が開催され、関西圏の旅行者に長崎県の魅力をアピール。関⻄のミシュランシェフが⼿掛ける⻑崎の⾷材を使用したテイクアウトグルメの限定販売やトークショーを開催。和華蘭文化など独特の文化を持つ長崎県。中国の伝統芸能「変面」のショーなども開催され、多くの人で賑わった。

長崎県では新幹線駅や駅周辺の整備など新たな街づくりが進められている。2023年秋には長崎駅直結する新長崎駅ビルに九州初進出となるマリオットホテルが開業予定。すでにヒルトン長崎や大型コンベンション複合施設「出島メッセ長崎」などもオープン。また2022年10月1日~12月31日まではJRグループと佐賀・長崎両県が開催する大型観光キャンペーン「佐賀・長崎デスティネーションキャンペーン」が開催される。期間中は様々な特別企画が開催され両県への注目度もアップ。西九州新幹線開業で観光ルートとしては佐賀、長崎だけでなく福岡、熊本も加えた西九州観光ルートも利便性が向上。新幹線開業でますますMICE都市としての発展が期待される。(JAPAN MICE NAVI編集部)