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「2025年大阪・関西万博 開催予定地視察ツアー」を開催。~工事が進む夢洲を体験~

JPEN
さきしまコスモタワー展望台から望む夢洲

日本の大阪と韓国釜山を結ぶ定期国際フェリー「パンスタードリーム」を運航するパンスターグループの株式会社サンスターラインが関西クルーズ振興協議会の協力で7月29日、「2025年大阪・関西万博 開催予定地視察ツアー」を開催した。
2025年大阪・関西万博の開催予定地、大阪港に位置する夢洲を巡るツアーで、建設中の会場が見られる貴重な機会だ。夢洲の会場予定地は約155haで万博開催時は1日平均約15万人の来場が想定される。夢洲北部分はIR(カジノを含む統合型リゾート)の誘致エリア、万博会場は南部分となっている。コロナ禍で観光業がダメージを受けているなか、未来への期待を胸に関西クルーズ振興協議会の会員を中心に約40人が参加した。

まずは大阪府咲洲庁舎に集合し、さきしまコスモタワー展望台から夢洲を望む。この展望台からは夢洲の遠景が確認できる隠れたスポットになっている。この日は晴天に恵まれ、はっきりと目の前に広がる夢洲を見ながら大阪港湾局担当者から整備計画について説明を受ける。基本的な情報だが、夢洲は大阪市此花区の最西部、大阪湾の中心にある大阪港に位置する埋め立て地だ。面積は約390ha。東側に夢洲コンテナターミナル、西側に廃棄物埋立処分場と大規模太陽光発電(メガソーラー)がある。2025年の大阪・関西万博は2018年11月23日に誘致が決定。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」で開催期間は2025年4月13日から10月13日。会場規模は155ha。来場者数(想定)は約2800万人、経済波及効果は約2兆円だ。
夢洲はIRの誘致場所でもある。国際会議場、国際展示場、ホテルやレストラン、ショッピングモール、カジノ、エンターテイメント施設などが建てられ、敷地面積は約49ha、投資規模は1兆円と言われている(大阪府発表より)。

ゾーニング計画

夢洲は大きく3つのゾーンに分かれている。一つは「物流ゾーン」&「産業・物流ゾーン」で、ここはすでに国際物流拠点として機能していて、引き続き高付加価値物流機能等を備えた物流機能等の確保を図る。二つ目は「観光・産業ゾーン」でエンターテイメント昨日やレクリエーション機能を中心に先進技術等が体験できる空間の創出など産業振興に資する機能も導入するなど、新たな国際観光拠点の形成を図る。三つ目は「グリーンテラスゾーン」で廃棄物処分場としての活用後はみどりあふれるオープンスペースや親水空間を形成し、観光、産業ゾーンで展開されるエンターテイメント機能等と連携する機能を導入するなど中央部と一体感のある国際観光拠点の形成を図る。

段階的な土地利用

第1期整備(約70ha)ではIRを核として、オールインワンのMICE施設やエンターテイメント施設、商業、飲食施設などを整備する。
第2期整備(約60ha)では、万博開催後の用地において第1期に導入されたエンターテイメント機能の拡充やレクリエーション機能の導入とこれらの施設による集客と大阪が強みを有する最先端技術の実証、実践の取り組みとの相乗効果を生み出す産業・ビジネス機能やその関連機能を導入する。
第3期整備(約40ha)は最先端技術の活用により生活の質(QOL)を高め非日常空間を感じられる長期滞在者用の機能やその関連機能を配置する。

土地整備が進む夢洲

夢洲まちづくり構想

今回のプロジェクトでは、下呂市内に観光DX化を進めることで、観光客誘致だけでなく、市内にDX化を浸透させ、住民サービスの向上も図る。
住民サービスの向上だけではコストが問題となる。観光で稼ぐことで、そのコスト負担を減らせる。住民サービスの向上は観光

まちづくりの方針、都市基盤は「確かな技術に支えられたスマートなまちづくり」だ。適切な輸送能力をもつ鉄道網の整備により、交通負荷を分散し周辺道路網などに与える影響の軽減を図る。
また、此花大橋や夢舞大橋の車線数を増やし、現有道路機能を強化。幹線道路の拡幅や高架道路の整備等による同線分離を図る。

計画では、大阪・関西万博は2022年中頃から2024年末まで整地、インフラ工事を実施。パビリオン等の建築工事は2023年から2024年末まで実施される。IRに関しては施設概要やスケジュールは事業者決定後の決定となるが、2023年から工事に入り、2020年代後半に開業予定だ。

ツアーでは、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会担当者も登場し、万博の概要やデザインなどを説明した。
会場デザインは「世界とつながる海と空に囲まれた万博」。四方を海に囲まれた会場ロケーションを活かし、世界とつながる「海」と「空」に囲まれた万博としての会場デザイン、企画が実施される。「非中心・離散」の理念によって多様性を鼓舞しそこに「つながり」を重ね合わせた「多様でありながら、ひとつ」をデザインしたという。

万博会場はパビリオンワールド、グリーンワールド、ウォーターワールドの3つのエリアで構成される。グリーンワールドは会場の西側の海に面した緑地エリア。野外イベント広場や交通ターミナル、エントランス広場など大人数が滞留することのできる開けた空間となる。パビリオンワールドは、パビリオン等の施設が集まるにぎわいのエリア。主動線としてリング状のメインストーリーと離散的に大小の広場を設け、ここからすべてのパビリオンにアクセスできる。メインストリートの上部はリング型の大屋根を設置する。メインストリートから離れた位置に樹木を配した広場(静けさの森)を作りこれにつながるようテーマ館が配置される。ウォーターワールドは水景を活用した憩いのエリア。水辺に面した飲食施設を配置するとともに水上イベントの舞台としても活用されるという。

大阪港湾局担当者と2025年日本国際博覧会協会担当者の説明を聞いた後は、いよいよツアー主催者のサンスターラインの貸し切りバスに、乗り換えて、実際に夢洲へ視察に向かった。
バスの中では整備中の夢洲を走りながら大阪港湾局担当者が整備状況等について説明。メガソーラー施設の大阪ひかりの森付近で降車し、夢洲全体を見渡した。工事が進む中、降車して見学できるエリアは限定されるようになった。埋め立て地は東京の荒川や大阪の淀川などの一級河川の河川敷の雰囲気に近い。当日は夢洲駅(仮称)の工事が進んでいる様子がよく見えた。

サンスターラインの貸切バスで夢洲を見学
万博開催予定地
新駅工事が進む
新駅工事付近
車窓からは舞洲に繋がる夢舞大橋も見えた

また海上輸送の乗降場予定地やIR予定区域も車中から見学した。観光用道路や外周道路の説明もあり、整備が進んでいる様子が分かった。埋め立て工事は予定通りに進めば2021年度末に終了し、乾かすなど土地が安定してから、上物の建設工事に進んでいくという。

この記事を書いた人

 

橋本 真由美(はしもと まゆみ)
1982年生まれ。甲南女子大学卒業後、観光メディアの企画、編集記者に。現在は韓国・釜山と日本・大阪を結ぶ定期国際フェリー「パンスタードリーム号」の船内誌「パンスターファン」編集長を務める。

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